Published for the exhibition series 'Stratosphere' held at gallery αM. Tokyo, from 2 April 2011 to 24 March 2012. Guest curated by Mizuki Takahashi, Katsuo Suzuki and Masayuki Tanaka, the series consists of 7 volumes and 1 symposium. With curators' and artists' texts. interviews and biographies.

いささか唐突に聞こえるかもしれない「成層圏」というタイトル。字義通りには大気圏の一層を指すが、企画者は、現代における美術の創造性を捉え直すメタ ファーとしてこの語を選んだ。美術に特有の表現の強度が、複数の意味の層が重なりあって、豊かな多義性を発揮することにあるとすれば、制作と鑑賞の両面に おいて、こうした「層」への意識は不可欠だろう。しかし、その各層が固定され、ときに階層化されて、自由な行き来ができなくなるような「地層」のイメージ は相応しくない。それとは対照的に、意味を発生させる層が流動性を失うことなく曖昧に連なり、その各層を想像力が横断的に飛翔することを予感させる空間と して「成層圏」という語を読み替えていきたいのだ。
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では表現を多層化していく方法とは具体的にはどのようなものなのか。形式的なレベルで は、イメージを層状に重ねていく絵画や、イメージと言葉の併用、さらにコラージュ、モンタージュという手法がすぐに思い浮かぶ。主題のレベルでは、過去の 美術作品や、美術という制度に対しての言及、あるいは歴史、社会、政治、文化への示唆など、こうした参照項が層状に張り巡らされることで、作品の解釈は重 層的なものとなるだろう。また、芸術作品を制作する他ならぬ作者という主体に注目すれば、事態はさらに複雑な様相を呈してくる。そもそも「わたし」という 主体そのものが、歴史的、社会的に構築された多層的な存在であるからだ。だとすれば、そのような主体と外界との臨界面に立ち現れる芸術作品には、様々な異 なる文脈における「わたし」と「世界」との出会いが刻印されることになる。いや、むしろ芸術作品という場において、「わたし」と「世界」とが同時に生成す ると捉えるべきなのかもしれない。
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この展覧会シリーズは、昨年度の「複合回路」に引き続き、同じ三人のキュレーターによって企画された。 個々の問題意識は継続しているとはいえ、今年度は「成層圏」というタイトルに託して、上述のような多層化のプロセスに潜む生成のモーメントに、より自覚的 に取り組んでいくつもりである。(鈴木勝雄)
Access level

Onsite

Location code
EX.JAP.STR
Language

English, 

Japanese

Publication/Creation date

2013

ISBN / ISSN

Nil

No of copies

1

Content type

catalogue

Chapter headings

Stratosphere / 成層圏 - Katsuo SUZUKI, 鈴木勝雄

Reactivating Landscapes / 風景の再起動 - Mizuki TAKAHASHI, 高橋瑞木

Charging Action / 行為の装填 - Katsuo SUZUKI, 鈴木勝雄

Tracing the 'Self' / 「私」のゆくえ - Masayuki TANAKA, 田中正之

Symposium: Trastification/Fault: Reactivated Art / シンポジウム: 成層/断層: 再起動する美術

What the Post-Earthquake Landscape Reactivated / 震災後の風景が再起動したもの - Mizuki TAKAHASHI, 高橋瑞木

Action Resisting Meaning / 意味に抗う行為 - Katsuo SUZUKI, 鈴木勝雄

Tracing 'Tracing the Self' / 「主体のゆくえ」のゆくえ - Masayuki TANAKA, 田中正之

Relying on the Hypothetical 'Self' / 仮構の「私」を頼りに - Katsuo SUZUKI, 鈴木勝雄

aM Project 2011: Stratosphere
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aM Project 2011: Stratosphere, αM プロジェクト: 成層圏